この記事ではニコンのカメラを使って朝焼け、夕焼けのタイムラプス撮影を行う際のカメラ設定について記載しています。あらゆる撮影者が納得でき、あらゆる環境に対応できる完璧な設定は存在しませんが、ここではタイムラプス撮影が比較的失敗しにくい設定を紹介します。僕も同じ状況でしたが、タイムラプス撮影の設定はメーカや機材によって微妙に設定項目が異なることや、環境によって設定が変わるため、初学者にはわかりづらいと思います。これからタイムラプス撮影をしようとしている人、タイムラプス撮影を初めたばかりの人が撮影経験を増やし、仕組みや設定を理解するまでの参考になれば幸いです。
朝焼け、夕焼けの明るさの変化に対応する必要あり
朝焼け、夕焼けのタイムラプス撮影を行う場合は時間の経過と共に周囲の明るさが変化するため、露出を変化させながら撮影する必要があります。数時間に及ぶタイムラプス撮影中、カメラにつきっきりで設定変更し続けることはほぼ不可能なのでカメラの機能や外部機材を使って対応することになります。
そして2018~2019年発売以降のニコンのカメラの場合は内蔵機能だけでほぼ対応することができます。
設定の狙い
ニコンのカメラを使った朝焼け、夕焼けのタイムラプス万能設定として、ざっくりやろうとしていることを説明すると
- 絞り優先(A)モード、絞り(F値)固定で撮影開始
- カメラ機能の露出平滑化を使いながら明るさの変化にはシャッタースピードを変化させて対応
- シャッタースピードだけで適正露出を得られなくなったらISO感度を上げて対応
こんな感じです。カメラまかせで露出をいい感じに調整してくれるので幅広い環境に対応できます。
具体的な設定
ニコン Z 6の場合で記載していますが、撮影のエッセンスとしては同じなので応用はできるかと思います。ニコン以外のカメラだと設定項目の単語が異なるかもしれませんが、同様の設定項目があるかと思います。
露出モード:絞り優先(A)モード
露出モードは絞り優先(A)にします。(モードダイヤルをAに合わせます。)
マニュアル(M)モードでも良いのですが、後述する露出平滑化機能を使いたいので絞り優先(A)モードを使います。
絞り(F値):開放〜11あたりで固定
絞り(F値)はこれ、という設定値はないのですが、開放〜f/11くらいで撮影中は固定します。
レンズや環境によるため、一概にこれとは言えないのですが、暗い環境(真っ暗な夜間、星景)の撮影でなければ開放から何段か絞ったf/5.6~11くらいが良いかと思います。
シャッタースピード(SS):設定不要
絞り優先(A)モードなので設定は不要です。
感度自動制御(ISO感度):AUTO(詳細設定あり)
感度自動制御(ISO感度)はONにし、下の表、画像のように設定します。
制限上限感度はZ 6なら6400から12800くらいでも気にならないレベルのノイズに抑えられると思いますが、機種によって上下させて良いと思います。
下の参考画像では低速限界設定は15にしていますが、後述する撮影間隔より短い時間に設定します。(低速限界設定 < 撮影間隔)
設定項目 | 設定値 | 補足 |
ISO感度 | 100 | 撮影中の最低ISO感度の設定。これ以下にはならない。 |
感度自動制御 | ON | |
制御上限感度 | 6400 or 12800 | Z 6なら6400〜12800くらいでも良質です |
フラッシュ使用時の制御上限感度 | – | フラッシュは使用しないので気にしなくて良いです。 |
低速限界設定 | 撮影間隔に合わせて設定 | 環境が暗くなりここで設定したシャッタースピードより遅くなるとカメラ側でISO感度を上げます。シャッタースピードと撮影間隔に合わせて設定します。 (シャッタースピード < 低速限界設定 < 撮影間隔) 被写体によりますが僕は8秒前後にすることが多いです。 |
オートフォーカス(AF):OFF
撮影中にオートフォーカスが作動しないように機能をOFFにします。念の為ボディ側、レンズ側共にOFFにした方が良いです。
AFが作動するとタイムラプス動画にしたときに途中で画像がボケてしまいます。撮影開始前のピント合わせの時に使用することが多いかもしれませんが、撮影後の編集でリカバリーすることが難しいので気をつけましょう。意図してやるのは良いのですが、上級者向けかと思います。失敗例はこちら↓
手ブレ補正:OFF
手ブレ補正機能をOFFにします。
上述したAF機能と同様にONのままだとタイムラプス動画にした時に画像がぶれてしまいす。
オートホワイトバランス(AWB):AUTO以外
オートホワイトバランス(AWB)はAUTO以外の設定にします。AUTOのままだと撮影中に自動で決められた設定が変わってしまい、JPEG画像の色が変わってしまいます。こちらも動画にした時に色が変わって不自然になります。
ではどうするかと言うと、撮影開始前にテスト撮影をして、JPEG画像画像の色味を見て決めます。これは撮影者の気に入った色味になるAWB設定にすれば良いです。ああ僕は曇天をよく使いますね。
RAW現像するときは後で設定し直すので関係ないです。
画質モード:RAW+JPEG(FINE)
RAW、JPEG両方を最高画質でデータを残しておくことを推奨しています。
データ容量に不安があったり、絶対にRAW現像しない方、使用できるPCスペックが貧弱な方はこれ以外の設定でも良いかもしれませんが、後々になってRAW現像するようになったりすることもありますので特にこだわりがなければこの設定をおすすめします。
インターバルタイマー撮影機能で撮影開始
撮影はインターバルタイマー撮影機能を使います。設定は下記の通りです。
注意してほしいこと撮影間隔の設定です。
項目 | 設定値 | 備考 |
開始日時の設定 | 任意の時間に設定 | 準備できたら即時開始で良いでしょう |
撮影間隔 | 被写体の動きに合わせて設定 | (シャッタースピード < 低速限界設定 < 撮影間隔) 僕は10秒前後にします。 |
撮影回数×1回のコマ数 | 9999×1 | 撮影が途中で終わらない回数に設定します。 不安があれば回数を多めに設定します |
露出平滑化 | ON | 明るさの変化に対して露出をなめらかにしてくれます。 |
サイレント撮影 | ON | 電子シャッターで撮影してくれます。メカシャッターを摩耗しません。 |
撮影間隔優先 | ON |
撮影間隔:被写体の明るさ、動きに合わせて設定
撮影間隔はタイムラプス撮影において重要な設定値です。気をつける点は2つ。
シャッタースピードとの兼ね合い
朝焼け、夕焼け時の場合だと暗い時間帯に最もシャッタスピードが遅くなりますが、そのシャッタスピードよりも撮影間隔を長い時間に設定しておかないとシャッタスピードが遅くできず露出不足になります。(撮影間隔優先をONにしている場合)
不等式にするとこうなります。
シャッタースピード < 低速限界設定 < 撮影間隔
被写体の変化の速さに合わせて 10秒前後
撮影間隔はタイムラプス動画にしたときの被写体の動きの速さに影響を与えます。良い例えが思いつきませんが、パラパラ漫画のコマ毎の動きの変化量と同じです。
朝焼け、夕焼けの空の色の変化は非常にゆっくりなので、僕は撮影間隔は6秒~15秒くらいにすることが多いです。
短い間隔で撮影できれば撮影後の編集で間引くことはできるので、手間がかかっても良い場合は短めの撮影間隔で撮影すると良いかもしれません。
撮影回数:上記の撮影間隔で何回撮影するか設定します。
撮影回数は9999に設定し、撮影終了は撮影者がカメラ電源をOFFにします。
撮影回数[回] × 撮影間隔[秒] = 撮影時間[秒]になるので、最低でも最後まで撮影時間が続くように設定すれば良いのですが、とりあえず回数を多めに設定して終了時に電源OFFでも良いです。例えば(撮影回数:600回) × (撮影間隔:10秒) = 6,000秒 = 100分 = 1時間40分となるので撮影が1時間40分以内に終わるのであればこれで良いということになります。
撮影間隔優先:ON
撮影間隔優先はONにします。
この機能は露光時間よりも撮影間隔を優先してくれます。上述したISO感度設定で低速限界設定を決めているので撮影間隔を露光時間が上回ることはないはずですが念の為設定します。ちなみに露出モードがA or Pの時に使えます。
撮影間隔と低速限界の設定値について
撮影間隔と低速限界の設定について補足しておくと、朝焼け、夕焼け前後をどれだけ撮影するかで調整しています。どういうことかというと、ISO感度をあげなければいけないほどシャッタスピードが遅くなるような暗い環境まで撮影をする場合は撮影間隔と低速限界を長めの時間に設定し、シャッタースピードをもっと遅くできるようにします。
例えば、朝焼けであればまだ空が明るくなる前から撮影をする時(夕焼けであれば日が落ちたあとの真っ暗な夜になった時)、設定によりますがこれらの環境では適正な露出を得るためにはシャッタースピードが10秒以上必要になったりします。この時、低速限界を6秒、撮影間隔を8秒に設定しているとシャッタースピード6秒でISO感度を上げて撮影はしてくれますが、上がりすぎは避けたいです。
目安として日の出・日の入時刻に対して前後1時間以上を撮影する場合はかなり暗い環境になるので低速限界を12秒以上、撮影間隔は低速限界+2秒くらにしています。
日の出・日の入時刻の前後1時間以内であればまだ明るい環境なので低速限界を4秒以上、撮影間隔を低速限界+2秒くらいにしています。
シャッタースピード、低速限界、撮影間隔の関係について長々と書きましたが非常に重要な設定パラメータなので書きました。ただし、被写体によっては逆にシャッタースピードを上げたくない時もあるので一概に言い切れない部分があるところが難しいです。
作例
上記の設定で撮影を行った動画を載せておきます。
撮影条件
- 画質モード:RAW+JPEG(FINE)
- 露出モード:絞り優先(A)モード
- 絞り(F値):11
- シャッタースピード(SS):設定不要
- 感度自動制御(ISO感度):AUTO(詳細設定あり)
- オートフォーカス(AF):OFF
- 手ブレ補正:OFF
- オートホワイトバランス(AWB):曇天
- インターバルタイマー撮影機能使用
- 撮影間隔:6秒
- 撮影間隔優先:ON
まとめ
ニコンのカメラを使って朝焼け、夕焼けのタイムラプス撮影を行う際のカメラ設定について記載しました。これからタイムラプス撮影に行う方の参考になれば幸いです。
はじめまして!
iPhoneのように撮影開始を押せば良し、というものでなく、Z6でのタイムラプス設定に困っていたので、とても助かりました。ありがとうございます!